2026.09.01

投資ファンドの存在意義:PEファンド編

PEファンドの基本的な仕組み。投資家(LP)からPEファンド(GP)へ出資し、GPが投資先企業へ出資・経営支援を行い、数年後のExit(IPO・M&A等)による回収をLPへ分配する流れを示す図

株式会社Space R代表取締役の赤間健太です。今回は「PEファンド」というものが何をしていて、社会にとってどんな価値があるのかについて、基本から解説します。

PEファンドとは何か

PE(プライベート・エクイティ)ファンドとは、年金基金や金融機関などの投資家(LP)から資金を集め、非上場企業や上場企業の一部事業などに出資して、経営に深く関与しながら企業価値を高め、数年後に株式の売却(IPOやM&A)を通じて投資を回収する仕組みです。単に資金を出すだけでなく、経営陣として、あるいは経営陣と伴走する立場として、事業計画の立案から実行までコミットする点が、株式投資や融資とは大きく異なります。

事業承継・カーブアウトの受け皿として

帝国データバンクの調査によれば、2025年の全国「後継者不在率」は50.1%で、7年連続の改善を見せているものの、依然として日本企業の半数が後継者不在という状況にあります。後継者不在の企業がとりうる選択肢は、親族内承継、従業員によるMBO、同業他社への売却、そして廃業などが挙げられますが、同業他社への売却は競合への吸収という形になりやすく、経営の独立性や雇用・ブランドが維持されにくいという懸念も伴います。

PEファンドは、こうした選択肢の間を埋める存在です。経営の独立性を保ちながら、資金と経営の専門性を注入し、次の担い手が育つまでの時間を作ることができます。大企業が非中核事業を切り離す「カーブアウト」の受け皿としても、同様の役割を果たします。親会社の中で埋もれていた事業が、独立した経営体制のもとで本来の価値を発揮できるようになるケースは少なくありません。

市場としても拡大している

Bain & Companyの調査によれば、日本のプライベート・エクイティ市場の取引総額は2024年に3.1兆円となり、4年連続で3兆円を超えました。後継者不在という構造的な課題と、大企業の事業ポートフォリオ見直しの両方を背景に、PEファンドが果たす役割は今後も拡大していくと考えられます。

PEファンドは「会社を安く買って高く売る」といったイメージを持たれることもありますが、実際にはその期間、経営に深く入り込み、企業価値を本質的に高める役割を担っています。資本市場と経営の両方の視点を持つ立場として、私自身もこうした資金と経営をつなぐ実務に、引き続き携わっていきたいと考えています。