2026.09.01
投資ファンドの存在意義:VCファンド編
株式会社Space R代表取締役の赤間健太です。前回はPEファンドについて解説しましたが、今回はもう一つの代表的な投資ファンドである「VC(ベンチャーキャピタル)ファンド」についてお話しします。
VCファンドとは何か
VCファンドとは、創業間もない、あるいは急成長を目指す企業に対して、少数株式という形で出資する投資ファンドです。前回解説したPEファンドが成熟企業への過半数出資(買収)を中心とするのに対し、VCファンドは経営権の取得を目的とせず、取締役会への参画やハンズオン支援を通じて成長を後押しします。投資先の多くはまだ黒字化していない、あるいは実績や担保となる資産が乏しい段階の企業であり、銀行融資では資金を確保しにくい層です。VCファンドは、こうした「事業の将来性」に賭けるリスクマネーの出し手として機能しています。
ハイリスク・ハイリターンという構造
VCファンドの投資は、1社1社の成功確率で見ればPEファンドより低くなります。投資先の多くが期待通りに成長しない一方、一部の投資先が大きく成功することで、ファンド全体としてのリターンを確保するという構造(いわゆるべき乗則)が特徴です。だからこそVCファンドは、多数の企業に分散して投資し、経営支援や人材紹介、次の資金調達に向けた支援などを通じて、投資先の成功確率そのものを高める努力をしています。
資金と実績が集まる先の二極化
日本のスタートアップの資金調達総額は、2024年に7,793億円(デットを除く)となり、前年比3%増とほぼ横ばいで推移しました。2025年上半期も3,399億円と、前年同期比4%増の水準です。一方で内訳を見ると、実績を示している企業に資金が集中する傾向が強まっており、AIなど成長分野を中心に数十億円から数百億円規模の大型ラウンドが増える一方、それ以外の企業との差が広がる二極化が進んでいます。
PEファンドとの役割の違い
PEファンドが「既に事業基盤のある企業を、より強くする」存在だとすれば、VCファンドは「まだ何も証明されていない段階の企業に、証明する機会を与える」存在だと言えます。どちらも資金の出し手であると同時に、経営に関与しながら企業価値を高めていくという点は共通していますが、対象とする企業の成長ステージとリスクの取り方が大きく異なります。
新しい産業や技術が生まれる土壌には、こうしたリスクマネーの存在が欠かせません。資本市場と経営の両方の視点を持つ立場として、VC・PEを問わず、資金と経営をつなぐ実務に引き続き携わっていきたいと考えています。